今年のガツンと来た10冊

今年もいよいよ終わりである。

振り返れば辛いことだらけだったけど、楽しいこともたくさんあった。

その中に、このブログを始めたこと、そしてこのブログによって作者の方や翻訳者の方から温かい言葉を頂けたことがある。

これは本当に嬉しかったなあ。

ありがとうの気持ちを込めて、私も今年の読書録とその中でも特にお気に入りの10冊なんか振り返ってみようと思う。

まずは今年一年で読んだ本を列挙する。

 

屍人荘の殺人 今村昌弘

樽 F・W・クロフツ

サマー・アポカリプス 笠井潔

ニューヨーク1954  デイヴィッド・C・テイラー

うまや怪談 神田紅梅亭寄席物帳 愛川晶

三題噺 示現流幽霊 神田紅梅亭寄席物帳 愛川晶

幽霊塔 江戸川乱歩&宮崎駿

私が殺した少女 原尞

怪盗不思議紳士 我孫子武丸

そして夜は蘇る 原尞

明智小五郎事件簿Ⅰ 江戸川乱歩

真実の10メートル手前 米澤穂信

ピアノ・ソナタ S.J.ローザン

明智小五郎事件簿Ⅱ 江戸川乱歩

山魔の如き嗤うもの 三津田信三

エジプト十字架の謎 エラリー・クイーン

奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻 泡坂妻夫

飛蝗の農場 ジェレミー・ドロンフィールド

『アリス・ミラー城』殺人事件 北山猛邦

月光亭事件 太田忠司

『クロック城』殺人事件 北山猛邦

ガラスの街 ポール・オースター

シャーロック・ホームズ 絹の家 アンソニーホロヴィッツ

縞模様の霊柩車 ロス・マクドナルド

その可能性はすでに考えた 井上真偽

べにはこべ バロネス・オルツィ

二都物語 チャールズ・ディケンズ

合邦の密室 稲葉白菟

探偵AIのリアル・ディープラーニング 早坂吝

吸血の家 二階堂黎人

ミステリー・アリーナ 深水黎一郎

フィルム・ノワール/黒色影片 矢作俊彦

IQ ジョー・イデ

幽霊男 横溝正史

女王蜂 横溝正史

殺人論 小酒井不木

動く標的 ロス・マクドナルド

きみといたい、朽ち果てるまで 坊木椎哉

エラリー・クイーンの冒険 エラリー・クイーン

名探偵の証明 市川哲也

コードネーム・ヴェリティ エリザベス・ウェイン

元年春之祭 陸秋槎

アックスマンのジャズ レイ・セレスティン

夜を希う マイクル・コリータ

第四の扉 ポール・アルテ

王とサーカス 米澤穂信

キッド・ピストルズの冒瀆 パンク=マザーグースの事件簿 山口雅也

そして五人がいなくなる はやみねかおる

帝都探偵大戦 芦辺拓

ウィチャリー家の女 ロス・マクドナルド

埠頭三角暗闇市場 椎名誠

探偵は教室にいない 川澄浩平

体育館の殺人 青崎有吾

水族館の殺人 青崎有吾

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 青崎有吾

鉤爪の収穫 エリック・ガルシア

首無館の殺人 月原渉

奇譚蒐集録~弔い少女の鎮魂歌~ 清水朔

図書館の殺人 青崎有吾

聖アウスラ修道院の惨劇 二階堂黎人

江戸川乱歩作品集Ⅲ 江戸川乱歩

暁の死線 ウィリアム・アイリッシュ

 

その中で面白かった10冊を選ぼうと思います。

 

私が殺した少女 原尞

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矢作俊彦馳星周と続いて和製ハードボイルドの魅力に改めて憑かれた1冊。沢崎がかっこいいんだあ。

 

『アリス・ミラー城』殺人事件 北山猛邦

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今年いちばん「騙された!!!」と気持ちよく唸らされた。物理の北山の二つ名に収まらない飛躍の1冊。

 

二都物語 チャールズ・ディケンズ

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恋愛、革命、法廷、暗殺、ミステリー…ありとあらゆるエンターテイメントを内包した傑作長編。久しぶりに泣きながら読んだ。来年は古典の大長編にも挑戦したい。

 

ピアノ・ソナタ S・J・ローザン

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主人公交代形式というシリーズものの強みを活かしたアメリカン私立探偵小説。傷ついた中年探偵の事件の後始末が粋。

 

コードネーム・ヴェリティ エリザベス・ウェイン

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大戦中、運命に翻弄されるふたりの女性の自由への闘争の物語。今年いちばんロマンチックな大作だった。私たち、すばらしい仲間よ。

 

元年春之祭 陸秋槎

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13・67に続く華文本格ミステリの黒船。紀元前の古代中国を舞台に描かれる少女たちの葛藤と驚天動地、未知のホワイダニットの衝撃に恍惚。

 

王とサーカス 米澤穂信

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実在のネパール王族殺人事件とフィクションの殺人事件を巧みに融合させた作者の最高傑作。登場人物たちの声にならない怒りと悲しみが身を切るようだった。いつかネパールに行ってみたい。

 

探偵AIのリアル・ディープラーニング 早坂吝

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表紙にいい意味で騙された。犯罪を推理する探偵AIの相以ちゃんのAI特有の弱点と可愛さを共存させ、さらにAIのリアル・ディープラーニングによる成長と本格ミステリを両立している快作。読感は気楽ながら中身に唸らされる。

 

合邦の密室 稲葉白菟

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あやつり左近以来の文楽×ミステリ、という作品ながら、より深く文楽の世界へ踏み込んだ描写と謎に満ちた悲劇を秘めた事件、そして温かい読後感が素晴らしかった。デビュー作とは思えない力作に作者の今後の活躍が楽しみで仕方ない。

 

探偵は教室にいない 川澄浩平

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屍人荘と同じくデビュー作にして鮎川哲也賞大賞という末恐ろしい1冊。登場人物の中学生の描写が抑えめながら確立しており、青春ミステリとして自分の中で不動の地位を得た。続編がありそうなので今から楽しみにしている。

 

体育館の殺人 青崎有吾

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自分と同じ年に生まれた作者のデビュー作ということでしこたま打ちのめされたが、それ以上に学校という空間で起こる殺人事件の面白さとたったひとつの証拠から次々に解明されていく真相の連続に度肝を抜かれた。平成のエラリー・クイーンの名をほしいままにする作者の間違いのない傑作。

 

10冊には選ばなかったものの楽しい本とたくさん出会えた。というか楽しくなかった本なんてほとんどなかった。

来年も食わず嫌いをせずに新しい方面への開拓をしつつ、今年出会えた本とのつながりも大切にしていきたい。

また、全然趣味の違う人のオススメなんかも聞いてみたい。それもきっと楽しい。

月並みですが、今年は以上です。ありがとうございます。来年もよろしく。