2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「〈ミリオンカ〉の女 うらじおすとく花暦」 高城高

1892年、ロシア帝国。極東の玄関口であり、ロシア人以外に清国、朝鮮、そして日本人など多様な国籍を持つ人種が入り乱れる国際色豊かな港町ウラジオストクに一隻の日本船が入港した。その船にはひとりの女性の姿があった。ウラジオストクに商会を構えるアメ…

「虚構推理短編集 岩永琴子の出現」城平京

「やあ、おひいさまを信じて悪いことはありませんよ。どっこい、どっこい」 (「ギロチン三四郎」より抜粋) 城平京と言えば漫画原作者としてのイメージが強いかもしれない。私たちの世代で言えばガンガンで連載されていたスパイラル~推理の絆~が夕方にア…

「入れ子の水は月に轢かれ」オーガニックゆうき

本作は早川書房が主催するプロにもアマにも門戸が開かれたミステリーの新人賞であるアガサ・クリスティー賞の第8回受賞作である。 ゲリラ豪雨によって知的障害を持つ双子の兄・潤を亡くした岡本駿。母子家庭で生活に困窮していた岡本家において潤の障害者年…