2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

今年のガツンと来た10冊

今年もいよいよ終わりである。 振り返れば辛いことだらけだったけど、楽しいこともたくさんあった。 その中に、このブログを始めたこと、そしてこのブログによって作者の方や翻訳者の方から温かい言葉を頂けたことがある。 これは本当に嬉しかったなあ。 あ…

「暁の死線」ウィリアム・アイリッシュ

その男は彼女にとって一枚の桃色をしたダンスの切符でしかなかった。それも、二つにちぎった使用済みの半券。一枚十セントのなかから彼女の手にはいるニセント半の歩合。一晩じゅう、床の上いっぱいに、彼女の足をぐいぐい押しつづける一対の足。 物語はこの…

「江戸川乱歩作品集Ⅲ」江戸川乱歩

私が江戸川乱歩の面白さにハマったのは今年のことであったが、そのほとんどが明智小五郎を主人公とした探偵小説ばかりであった。そこで今回は少し毛色が違う作品を求めてみた。すなわち、乱歩のエロ・グロ・ナンセンスが散りばめられた変格(推理)小説の部…

「聖アウスラ修道院の惨劇」二階堂黎人

優れた建造物は優れた物語を産み出す。それも時に優れたキャラクターよりも雄弁に物語を語る、と私は思う。ルブランの奇岩城も、カーの髑髏城も、乱歩の幽霊塔も、宮崎駿のカリオストロの城も綾辻行人の館たちも、あれらの建造物なくしてその物語は輝かない…