2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「首無館の殺人」月原渉

とある屋敷の一室でひとりの女が目を覚ます。ぼんやりとする頭で周囲にいる人間を見回すも、どの顔にも見覚えがない。女は記憶喪失になっていた。女は自分の名が宇江神華煉ということ、ここが横浜の祠乃沢という地にある斜陽の貿易商・宇江神家の館であると…

「鉤爪の収穫」エリック・ガルシア

男の子なら遺伝子レベルで無条件降伏してしまうようなものがこの世にはいくつかある。恐竜もその最たるもののひとつだろう。恐竜図鑑を見てそのスケールと造形のダイナミックさに胸打たれずに大人になった子どもがこの世にどれだけいるだろうか。そして、私…

「体育館の殺人」青崎有吾

私のこれまでの長くも短くもない人生の中で1日に2冊の本を一気に読み切ったことがあっただろうか。私が1番文学少年というか路地裏ラノベ少年をやっていたのは中学2年のときだったが、それでもあまりそういう経験はなかったと思う。少なくとも記憶にない。で…

「探偵は教室にいない」川澄浩平

昨年はやはり屍人荘の殺人の年であった。ネタバレ厳禁の斬新な基本設定(その禁はいまだに守られている。ミステリ畑の人間の義理堅さに頭が下がる)に包まれた確かな本格ミステリ。口コミで人気に火が着き、普段は鮎川哲也賞作品をスルーするような書店でも…

「埠頭三角暗闇市場」椎名誠

舞台は近未来。中・韓連合による大規模ゲリラが同時多発地盤崩壊作戦を決行し、十大都市全域が崩壊した「大破壊」を経た日本。経済も政治も中・韓連合に乗っ取られ、微細生物や病原菌がうようよする黒い雨が降り、異常進化した人語を解するヘンテコな野生生…